新装普及版　大型図録本　古備前　原色版　備前　作品集　写真集　日本の陶磁　古備前図鑑　BIZEN WARE

責任編集　林屋晴三

監修　谷川徹三・川端康成

扉題字　川端康成

中央公論社

1989年初版

116ページ

約34.5ｘ26ｘ1cm

作品写真図版フルカラー

ビニールカバー付　帯付き、ソフトカバー

※絶版

フルカラー大型図録本、古備前図鑑。

室町時代後期から江戸時代初期にいたる、桃山茶陶を中心とした古備前焼の厳選された優品234点を収録。

サンギリ/桟切、胡麻、緋襷/火襷、牡丹餅などを作風別に整理分類し、

茶壺、水指、茶入、茶碗、花入、建水などの茶道具から、壷、手鉢、皿、小鉢、酒器、徳利、銚子など日常雑器にいたるまでを網羅して収録したもの。

「原色愛蔵版　備前　日本の陶磁6」と掲載作品は同一で、内容を再編集・再構成した新装普及版。

平安朝末期から今日にいたるまで連綿と焼き継がれてきた焼締陶。

この巻では備前焼の存在を見事に印象づけた桃山期の各種茶道具や大小の鉢・徳利などの食器に代表される、

茶陶備前の土味匂う素朴な美を展開。

フルカラー写真に加えて、巻末には全作品の寸法、サンギリ/桟切・緋襷/火襷・胡麻ほか景色などの見どころ、伝来、来歴など詳細な解説を付す。

窯印のあるものについては窯印/陶印の記号、箆彫りなどの情報は、本書においては各作品解説テキスト文中に記載。

作品名については、BIZEN WAREとして全作品に英文表記あり。

監修は

谷川徹三（昭和を代表する哲学者・国博物館次長・法政大総長等を歴任し、古今東西の思想・宗教・政治・文学・美術に及ぶ広範な評論活動を展開）

川端康成（小説家・文芸評論家。大正から昭和の戦前・戦後にかけて活躍）

責任編集は

林屋晴三（日本陶磁史、とくに茶陶の研究を進めた東京国立博物館名誉館員。日々茶の湯を実践した数寄者、東京国立博物館次長、裏千家茶道資料館顧問、頴川美術館理事長、菊池寛実記念智美術館館長などを歴任、博物館や美術館における展覧会活動には終生関わった陶磁史研究の第一人者）

監修者、責任編集者ともに昭和後期最高峰の内容を誇り、参考文献としても多く引用されてきた一冊。

美術館・博物館所蔵の在銘名物から、

めったにお目にかかることのできない個人蔵の銘品優品を多数カラーで写真解説したもの。

大型本のため、各作品の写真も大きく、細部まで見て楽しむことができる、

備前焼作家、陶芸家、古備前、桃山茶陶、酒器、茶道具、侘び茶、骨董品愛好家等に必携の大変貴重な資料本です。

【凡例】より

＊本巻では、室町時代後期から江戸時代前期にかけて焼造された備前焼、特に桃山時代の茶陶を中心に作品をとりあげ、234点、240図版を用いて責任編集者が図版構成を行なった。

＊「備前図版Ｉ」では、桃山茶陶の典型的な作品をとりあげて鑑賞に供し、「備前図版II」では、各器種別に作風の展開のさまがわかるように図版を配列した。

＊備前図版１および図版II解説の執筆には赤沼多佳が協力した。

＊図版には図版番号のほかに名称（英文とも）、指定（重要文化財等）、所蔵者名、主な寸法を付した。なお個人の所蔵者名は省略した。

【目次】

備前図版Ｉ　カラー写真

備前図版II　カラー写真

解説　林屋晴三

　備前概説

　備前図版Ｉ解説

　備前図版II解説

図版目録　List of Plates

参考文献

【各作品解説より一部紹介】窯印のあるものについては窯印/陶印の記号を作品解説ページ各作品のテキスト本文中に収録。

１　備前耳付花入　銘福耳　高さ26.0cm　口径14.2cm左右17.0cm底径17.0cm

　裾広がりぎみに轆轤びきされた筒形花入。囗部を引き締めて段をつけ、内にすぼめた口造りは矢筈口風になり、肩の左右につけられたゆったりした垂耳は、全体の形のなかにまことによく調和して、端然とした風格のある姿にまとまっている。また土膚の焼き上がりもいかにもやわらかく、しかも大きく焦げが生じて灰黒色に窯変し、赤く焼き上がった右上部と鮮やかな対照をなしている。このように質感のやわらかな古備前は比較的数少なく、表裏両面に縦、横に篦彫りを施しているが、桃山期のこの種の茶陶としては作為の少ない穏和な作振りの花入である。同裾に窯印「窯印（本文参照）」が刻され、底は平らで緩やかに起伏している。「福耳」の銘は、いうまでもなく耳の作振りに因んだものであり、表裏とも肩に鐶付の穴を小さく穿っているのはかつて掛花入として用いられたからであるが、いまは填めてある。かつて京都の矢倉家に伝来したものである。

２　備前耳付花入　銘太郎庵　高さ25.6cm　口径10.6×13.7cm　左右18.0cm　底径12.7×13.7cm

　筒形の前後を押えて扁平にした花入で、胴の上部に太く彫りをめぐらし、その左右にやや小振りの耳を無造作につけている。口造りは外にまるみをもたせて姥囗風に内に返し、耳から上の裏面から表にかけて檜垣文の浅い篦彫りを加え、さらに胴裾にも一筋横に篦彫りをめぐらしている。この花入もまた窯変の鮮やかな焼き上がりで、全体がほぼ灰青色に焼き上がったなかに、正面に大小二か所、側面にかなり大きく、あたかも島のように赤く焦げが抜けて、まことに面白く鮮やかな景色をなし、一部に朽葉色の胡麻釉が薄く降っている。平らな底の中央に一文字に細い線を篦彫りしているが、あるいは窯印であろうか。口の下に前後とも鐶付穴が小さく穿たれていたが、いまは填められている。箱蓋裏の貼紙に「元文二巳九日　太郎庵所持　備前細水指　譲受者也」と記されているが筆者は不詳。太郎庵は表千家の覚々斎原叟門下の茶人、太郎庵良斎であり、いまでは花入に用いることが多いが、かつて細水指として名残りの席に用いられたこともあったのであろう。かつての所持者に因んで「太郎庵」と呼ばれている。

３　備前三角花入　高さ25.9cm　口径13.0cm　底径13.9cm

　備前独特の窯変の妙を満喫させてくれる作であり、その変化に満ちた景色は、言葉ではあらわし難い。簡形に轆轤びきした胴を三方から平らに押えて三角に作り、口と底はほぼ円形である。口部は図１と同様の作振りだが、これには緩やかな起伏をつけている。胴の三面に鋭いタッチで一筋ずつ弓形の篦彫りをつけ、上下とも細く太く横に箟彫りを効かせている。大振りで、しかも作為に満ちた形に加えて、全体しっかりとかたく焼き締まり、なおかつ稀に見る変化に富んだ鮮やかな景色に焼き上がっているため。観るものに、まことに強烈な印象をあたえる優作である。平らな底にはまるく置跡が（以下略）

ほか

【備前概説】より一部紹介

　備前は、丹波、伊賀、信楽などとともに中世以来連綿と続いた日本の代表的な古窯である。酸化焔焼成を基本とし、室町時代後期までは、特殊な作例を除いて主として壷、甕、擂鉢などを焼造し、成形は輪積轆轤仕上げであった。ところが室町時代後期に至ると、侘び茶の世界で用いられるなど、都市の文化と接触してその作風は大きく拡がった。もちろん侘び茶の世界が認めたのは、焼締めによる素朴で寂びた味わいのある質感であったから、基本的な焼成技術は変わらなかったが、従来の壷、甕、擂鉢の他に純然とした茶道具、すなわち茶壷、花入、水指、茶入、茶碗、建水や皿、鉢、徳利などの食器を焼くようになったのである。もちろん室町時代後期以後も雑具を生産してはいるが、桃山という時代的特色を明確に示した代表的な作品は、やはり茶陶であった。なかには、雑具として生まれたものも茶の世界で使われているが、桃山の作品は、雑具といえども中世のものとは違って、洗練され、器形も多様である。したがってここでは、桃山時代の茶陶を中心に古備前の作風を概観することにした。

　備前、丹波、伊賀、信楽のなかで、もっとも早く茶の世界に登場するのは信楽と備前で、村田珠光(1423-1502)が語った言葉や残した消息のなかに「いせ物、びぜんもの(備前物)なりとも、面白くたくみ候はば、まさり候べく候」(『禅鳳雑談』)、「又、当時、ひゑかるると申して、初心の人躰がびぜん物、しがらき物などをもちて……」

　(古市播磨宛消息「心の文」)とあり、備前や信楽ものが、珠光が活躍した文明年間(1469-87)から文亀年間(1501－04)頃にかけて使われていたことがうかがわれる。珠光が用いた作品がどのようなものであったかは判然としないが、『山科教言喞記』の応永十三年(1406)四月八日の記載のなかに「備前茶壷」とあるので、茶壷はすでに焼かれていたことがうかがわれ、他に雑具として生まれた壷や擂鉢、または苧桶が用いられるようになったものと推測されている。

　侘び茶の道具とはいえないかもしれないが、茶に関係のある器としてもっとも早くから焼かれたのは茶壷で、備前焼に貞治二年（以下略）

【図版目録】より一部紹介

備前　BIZEN WARE

備前耳付花入　銘　福耳

Flower vase with two handles, known as “Fukumimi”

Height 26.0cm

備前耳付花入　銘　太郎庵

Flower vase with two handles, known as “Taro-an”

Height 25.6cm

備前三角花入

Triangular flower vase

Height 25.9cm

備前花入　銘　残月

Flower vase, known as “Zangetsu"

Height 22.0cm(以下英文・寸法略)

備前筒花入

備前四方花入

備前花入　銘　宮柱

備前手付花入

備前旅枕花入

備前耳付銅壷

備前矢筈口耳付水指　銘　破家

備前矢筈口耳付水指　銘　巌松

備前矢筈口耳付水指

備前矢筈口水指

備前桶形水指　銘　破桶

備前細水指　藤田美術館

備前緋襷水指　重要文化財　畠山記念館

備前緋襷水指

備前緋襷耳付水指

備前烏帽子水指

備前茶入　銘　走井

備前肩衝茶入　銘　さび助

備前緋襷肩衝茶入　銘　福神

備前瓢形茶入

備前緋襷振出

備前徳利　畠山記念館

備前徳利

備前徳利　銘　年わすれ

備前緋襷徳利　畠山記念館

備前緋襷徳利

備前手鉢

備前透文大鉢

備前額形平鉢

備前透文手鉢

備前沓形鉢

備前水指　銘　青海　徳川美術館

備前鬼桶水指

備前鬼桶水指

備前耳付水指

備前耳付水指　銘　竜田川　東京国立博物館

備前耳付水指

備前耳付水指

備前矢筈口耳付水指　林原美術館

備前矢筈口耳付水指

備前矢筈口耳付水指

備前耳付水指

備前耳付水指

備前矢筈口耳付水指

備前耳付水指

備前矢筈口三角水指

備前矢筈口水指

備前矢筈口水指

備前矢筈口水指

備前矢筈口水指

備前矢筈口水指　岡山県立博物館

備前矢筈口水指

備前矢筈口水指

備前矢筈口水指

備前細水指

備前細水指

備前細水指

備前細水指

備前水指

備前耳付水指

備前耳付平水指

備前水指

備前種壷水指　畠山記念館

備前種壷水指

備前種壷水指　梅沢記念館

備前種壷水指　藤田美術館

備前緋襷棒先水指

備前緋襷棒先水指　藤田美術館

備前緋襷水指　銘　玉柏　畠山記念館

備前緋襷水指

備前緋襷水指　東京国立博物館

備前緋襷水指

備前井戸車形平水指

備前広口平水指

備前一重口水指　東京国立博物館

備前烏帽子水指

備前耳付水指　銘　木葉猿

備前袋形水指

備前耳付水指　梅沢記念館

備前耳付水指

備前耳付水指

備前瓢形水指

備前耳付水指

備前耳付袋形水指

備前烏帽子水指　藤田美術館

備前烏帽子水指

備前烏帽子耳付水指

備前釣瓶水指　畠山記念館

備前三角掛花入

備前算木文花入

備前耳付花入

備前柑子口花入

備前擂座花入

備前花入　銘　鬼の腕

備前砧形花入　畠山記念館

備前三角花入

備前花入

備前花入

備前花入

備前三角花入

備前耳付花入　畠山記念館

備前耳付花入

備前耳付花入　銘　柴の戸

備前三角花入

備前耳付花入

備前耳付三角花入　ＭＯＡ美術館

備前耳付花入

備前耳付花入　銘　二見　不審菴

備前簡花入　銘　八重葎

備前瓢形花入　藤田美術館

備前耳付花入　銘　福耳

備前耳付花入

備前沓茶碗　銘　只今　岡山県後楽園

備前茶碗

備前沓茶碗

備前茶碗　銘　獅子

備前丸壷茶入　銘　関寺　畠山記念館

備前緋襷肩衝茶入　銘　彫雲

備前緋襷尻膨茶入　銘　古里

備前緋襷肩衝茶入　銘　茂山

備前瓢形茶入

備前瓢形茶入

備前瓢形振出

備前耳付振出

備前茶入　銘　宝珠

備前茶入　銘　柴ノ戸

備前肩衝茶入　銘　千歳

備前肩衝茶入　銘　横雲

備前肩衝茶入　東京国立博物館

備前肩衝茶入　不審菴

備前茶入

備前茶入

備前大海茶入　藤田美術館

備前肩衝茶入　銘二王

備前尻膨茶入

備前広口胴締茶入　銘恵比須

備前四耳茶壺　東京国立博物館

備前緋襷四耳茶壷

備前緋襷四耳茶壷

備前四耳茶壷

備前三耳茶壺

備前四耳壷

備前壺

備前壷

備前建水

備前袋形建水　京都民芸館

備前竹蓋置

備前蓋置

備前緋襷建水

備前沓形建水

備前建水

備前緋襷建水　畠山記念館

備前緋襷火入

備前緋襷香炉　銘　得意

備前緋襷耳付香炉

備前火入

備前釣舟花入

備前釣舟花入

備前耳付扁壷　東京国立博物館

備前耳付扁壷　滴翠美術館

備前湯桶

備前湯桶

備前緋襷胴紐甕

備前緋襷甕

備前緋襷徳利

備前緋襷徳利

備前緋襷徳利　畠山記念館

備前緋襷徳利

備前徳利

備前徳利

備前徳利

備前徳利

備前徳利

備前徳利

備前徳利

備前徳利

備前徳利

備前徳利

備前徳利

備前瓢形徳利

備前徳利　岡山県立博物館

備前徳利

備前船徳利

備前船徳利　不審菴

備前緋襷船徳利

備前緋襷船徳利

備前緋襷大徳利　岡山県立博物館

備前緋襷鶴首大徳利　根津美術館

備前平鉢　五島美術館

備前輪花平鉢　畠山記念館

備前木瓜形平鉢

備前輪花大平鉢　畠山記念館

備前葉形皿

備前緋襷平鉢

備前半月形平鉢

備前平鉢

備前平鉢

備前平鉢

備前緋襷大皿　藤田美術館

備前緋襷大皿　岡山県立博物館

備前陶板

備前半月形手鉢

備前半月形手鉢

備前半月形手鉢

備前手鉢

備前半月形手鉢

備前四方入隅手鉢

備前脚付額鉢　岡山県立博物館

備前輪花皿

備前平鉢

備前緋襷皿　畠山記念館

備前沓形小鉢

備前小鉢

備前沓鉢

備前脚付平鉢

備前緋襷平鉢

備前平鉢

備前平片口　岡山県立博物館

備前銚子

備前銚子

備前銚子

備前銚子

備前銚子

備前緋襷汁注

備前緋襷汁注

備前緋襷汁注

備前緋襷汁注

備前緋襷擂鉢形向付

備前透文釣燈籠

備前松竹梅透文猫鈕重箱

★状態★

1989年のとても古い本です。

外観は通常保管によるスレ・背やけ程度、天小口に経年並ヤケ・小しみありますが、

カラー写真図版良好、目立った書込み・線引無し、

問題なくお読みいただけると思います。（見落としはご容赦ください）